バライエタルワイン varietal wine はフランス語ではヴァン ド セパーユ vin de cépage といいます．直訳すれば，品種のワインということです．ブドウの品種は英語では variety，フランス語では cépage です．

バライエタルワインは，原料のブドウのフレーバーが感じられるワインのことで，原料の主なブドウの品種をラベルに表示してあります．カリフォルニア，オーストラリア，ニュージーランド，南アフリカなどの新世界ワインは原則として，バライエタルワインです．

フランスのアオセ AOC は appellation d’origine contrôlée 原産地統制名称という名前のとおり，ブドウの原産地を限定して，ブドウの栽培をきびしく統制し，その産地で造ったワインの原産地の地名を名乗らせるシステムですから，AOCワインには原則として，ブドウの品種はエチケット（ラベル）に表示しません．バライエタルワインではないのです．

例外的にアルザスの地方名AOCワインにリースリング Riesling とセパージュ cépage を表示してあり，ブルゴーニュでも， Pinot Noir とか Chardonnay と輸出用ラベルにはセパージュを併記するメーカーもあります．

フランスでも AOVDQS や Vin de Pays にはセパージュ cépage を表示したものがあります．最近世界的に人気が上がっているラングドックの Vin de Pays d’Oc にはバライエタルワインが多く，メルロ Merlot とセパージュを記入してあります．

バライエタルワインは，必ずしも1つの品種で造られているとは限りません．2種または3種をブレンドしてあることもあります．そのなかで一番多く使った品種を表示してあるのです．アメリカでは品種を表示するためには75%以上使うことが義務付けられています．