ボージョレ地方で，ガメイ種のブドウで，マセラシオン・カルボニックで造られる赤ワインの新酒，ボージョレ・ヌーボー BEAUJOLAIS NOUVEAU はフランスの新酒ワインの中で，最もマーケティングに成功した製品です．19世紀末から,　ボージョレの新酒は，リヨンでは飲まれていましたが，他の土地では，知られてない地ワインでした．

第二次世界大戦中，パリがナチスに占領されて，パリのマスコミがリヨンに拠点を移したことから，ボージョレワインはマスメディアに乗って，羽ばたき始めました．

1951年に12月15日を発売解禁日として，プリムール primeur（新酒）を売り出し，その後1960年代にかけて，パリのビストロでブームとなり，1960年代の終わりにボージョレ・ヌーヴォー　エタリヴェ（Beaujolais nouveau est arrivé．ボージョレ・ヌーボー入荷）が流行語に，1971年に刊行された同名の小説がベストセラーになりました．

1967年から,発売解禁日を11月15日に変更，1968年から，パープ・ド・ボージョレ pape du BEAUJOLAIS（ボージョレの法王）と呼ばれている,　ジョルジュ・ブッフが世界戦略を開始したおかげで，1970年代から，アメリカ，イギリス，オーストラリア，日本，イタリアへとヌーボーバブルが広がりました．

1985年には，「解禁日が休業日の日曜日に重なると売れない」という業界の苦情に応えて，発売解禁日を11月第3木曜日に変更，定着しました．

ボージョレ・ヌーボーは，40日ほどの短期間で造られる，早飲みワインで，発売解禁日からクリスマスまで，おそくとも年内に飲みきるべきものです．

≪ヴァン　ヌーヴォー vin nouveau≫または≪ヴァン・ド・プリムール vin de primeur≫　として売り出されるのは,ボージョレとボージョレ・ヴィラージュの赤ワインとロゼワインだけです．vin nouveau は新しいワイン，vin de primeur は初物のワインという意味です．